2010年03月29日
覆面取材だった

ご存じの方も多いかと思います。数年前から現れた雑誌の覆面取材。
宿屋だけでなくレストランなどいろんに業種を対象にいろんな雑誌でときどき見かける取材手法。
旅館だと日経おとなのOFF(400軒も覆面取材していたのか…)とか、
自遊人(この号にでていた松宝苑さんにはいつか行ってみたい)とかが有名。
良く評価されれば商売繁盛につながりますが、
悪く評価されればやはり営業には悪影響。
書かれる施設にとっては痛し痒しの取材手法だと感じておりました。
たとえそれが真実の記事であったとしても、
悪く書かれれば「他人のフンドシで相撲とって!」といいたくなる。
ことさら悪く書かれずとも、商売上なるべく隠していたい部分を、
その道の事情に詳しい目であからさまにされちゃったりするのも痛かったり。
…とはいいながら(^^;)、私も「評判いいようだけど本当のところはどうなの?」という、
ちょっぴり下世話(かもしれない)な知りたい欲求にかられて、
そういう記事は熱心に読んでいる方です。ははは。
今のネット時代は雑誌に限らず、
昔のように適当にごまかしたり、隠しておくってのができない時代です。
また、この覆面取材ってのは、
遙か昔から存在する「提灯持ち記事」に対するアンチテーゼだろうし、
ある種の権威となり、提灯持ち記事を書くことで報酬を得ている旧体制への革命でもあろう。
その旧体制には、料理評論家とか旅館評論家とかそんな人も入る。
まあしかし実際は覆面取材が掲載されている雑誌にも、
提灯持ちっぽい記事も併せて載ってたりするし、
そもそもそんな大げさなもんではなく、ただ新鮮な見せ方なだけなのかもしれない。
何だかんだ言っても、雑誌に記事が載る前には「覆面取材しましたが載せて良いですか?」と、
宿に確認が入るようですので、原稿はみせてもらえませんが、
宿に載せるか載せないかは委ねられる。
で、まあ今回、栄誉だと思ってポチッと「はいどうぞ載せて下さい」とお返事したわけです。
今月号の自遊人に、嵐渓荘の覆面取材記事が掲載されております。
↓せっかくでございます。記念に一冊おてもとにどうぞ。

巻頭12ページ目に見開き2ページにわたり紹介されています。
※自遊人さんに敬意を表して、拡大しても読めなくなっております(笑)
居心地の良さと手頃な料金が魅力
なにしろ13800円だもの。文句を言ったらバチがあたる。
「出過ぎず、目立ちすぎず」。新潟県民の県民性が現れている宿。
今回の記事、私としては非常に正確に現在の嵐渓荘を評価していて、
記事の細部にわたり納得の内容でありました。
日本秘湯を守る会にはもっと覆面取材すべき宿屋がたくさんあるのに、
なぜここで嵐渓荘なのか?…という疑問符ではじまる冒頭からして、
嵐渓荘の微妙なその存在感をうまく表現している。
正直、私はたいへん嬉しい記事であったわけですが、
これを読んだ私の母や従業員さんは複雑な心持ちであったようです。
総合評価★★★☆☆と星3つで、
自遊人基準からすると「かなりいいじゃない!また来たい!」です。
これまでの覆面取材された宿屋記事は何軒かPDFでファイルしてあったのですが、
それと読み比べてみてもかなりの高評価です。
しかし、実際に料理の構想・調理にたずさわったり、
毎日いろんなお客さまに接客する人たちにしてみると、
もっと良い風に宣伝してもらえないと嬉しくはない、というのが素直な感想だったよう。
みんな一生懸命取り組んでいるから、そうなんだろうなと思いました。
しかしながら、この記事に書かれているような印象が実際なわけで。
これからに期待する、みたいなまとめ方であったし喜びましょう!
さて、この記事を読む前日、深夜の大浴場で、私はとある別の雑誌を読んでいました。
※お客さまがいないとき、こっそり大浴場で読書するのが私の秘密趣味。お許しを。

あえて並べてみましたが、読んでいた記事というのは左のホテル旅館「星のや 京都」の記事です。
↓高い雑誌ですが、ご興味のある方にはおすすめいたします。
星野リゾートは数年前から話題ですので、ご存じの方もたくさんいらっしゃるとおもいます。
私はNHKのプロフェッショナル仕事の流儀で、
星野佳路さんが紹介された頃から存じておりました。
「旅館再生請負人」という紹介のされ方が一般的だったので、
正直、あまり良い印象をもっていませんでした。
ゴールドマン・サックスとつるんでいるハゲタカかよ、みたいな。
しかし、それは大いなる間違いであると、ここ数日で気づかされました
気づいたきっかけ。
先日、村上龍のカンブリア宮殿というテレビ番組で星野佳路さんが特集されていて、
それを見た私の大切な人が「とても感銘を受けた」と話をしてきたところに始まります。
もともと、星野リゾートさんを出来レースの勝者みたいに誤解していた私は、
私の大切な人に「俺はああいうのは認めない」みたいな暴言を必死になって長々吐いたのです。
今からおもえば妬み・嫉妬のような、自分ができない理由を並べ立てた暴言だったとおもいます。
しかし寝て起きて、大切な人が良いというのに真っ向から反発したのも大人げなかったと反省し、
あらためて星野リゾートの歴史について勉強しなおしてみたのです。
実際は本当のところわかりません。ご本人に会ったこともないし。
しかし、星野佳路さんが元々は「リゾートの運営会社」としてナンバーワンを目指して、
会社を設立したということを知り、巨額不採算施設の再生を請け負うようになったのは、
人生万事塞翁が馬の結果であったとわかりました。
有名なリゾナーレ小淵沢の再生事業は、出来レースどころか社運をかけた大冒険であった。
そしてその成功が星野リゾートが本物に変身するターニングポイントであった。
正直、「あれだけ莫大な金をかけて作った施設がそもそもあったわけだから…」という、
星野リゾート成功に対する醒めた見方は今でもあります。
しかし、自腹で設備投資した施設には、「星のや 軽井沢はショールームです」という発想。
心底「リゾート運営のプロ」を目指しているのが本当で、
商売的に美味しい話に乗っかろうなんていう、
そんな志の人・会社ではないんだなぁと、ひさびさに同業の先達に感動しております。
まだどの星のやも利用したこと無いんですが、これから順番に泊まってみたいです。
少々われわれ庶民には利用金額の面でハードルが高いのが難点ですが(^^;)、
とりあえず子供連れてリゾナーレ小淵沢なら夏休みの旅行で行けるかな。
で、感動しているだけではだめで、
大事なのは自分なりの嵐渓荘ビジョンをもっともっと掘り下げて、
具体的な形にしていかなければならないということ。
規模も施設もスケールが違いますが、とても大きなモチベーションをもらったような気がします。
自遊人の記事は現在の立ち位置を。
星のやの記事は未来の立ち位置を。
それぞれ理解するきっかけをガツンと与えてくれました。
このタイミングで!ありがたいことです、本当に。
空左右衛門さんからのコメント。2010年04月29日 02:23
星野グループ 伊東園グループ そして今や京都の?グループ。夫々にニッポン人の心を和ませる手法なりや?正しく米国の経営手法と承知します。痒くないのに痒いとこ・・と。はたまた 食事は夕朝ともバイキング。高級食事をプラ皿で独り食うゴールデンやケージの中で時間がくると餌を貪るブロイラーや・・豚舎のむさ苦しい食時間。旅の中 また滞在の中 およそニッポン人には解せない光景を目の当たりにして。欧米諸国の人々はそんなことはありません。また ヴァケイション こちらの連休 の時は普段より格安 連休値段・・というのはありません。彼らの手法は外国からの手法に過ぎません。日本人をもっと視て読んで欲しいですねぇ。
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